MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
 
拒んだのではなく、沈黙を打ち砕こうとしたその痕跡は。継ぎ目のないひかり(雷鳴)は届かないほうが鮮やかになる。そう呼吸を止めるプリズム。
 個人的な言動が形骸化し、釣り合いの取れないまま、ただ願いだけが、重たく沈殿していた。無意味でしかなかった意味が、意思を持ち始めた木漏れ日が、明滅を、祈りとして、つぎはぎのようにまわりながら、誰にも気づかれない手順で持たぬ何かを、律動のまま呑み込む訓練。
 見えすぎることが、かえって事実を照らしだす。その一音符。
 風景にめり込んだ休符のように。触れた瞬間にほどけてしまうような。これは傷に似た抑揚のほうが、あとを引く。
 物語は、はじめここにたど
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