MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
の奥で彫られる自画像。それはまだ顔を持たないが、すでに重さを持っている。
記憶だってそうだ。何度も繰り返し、こそぎ、残った断片がいちばん濃くなる。あたかも、それこそが最初から本質だったかのように。彫刻家が余白を切り捨てて像を起こすように、わたしの内部でも"未然"が削られていく。
古織の幼生は、削るほどに濃くなるものなので、そこに根を張ったのは、生まれた手ではなく、いまだ 死にきっていない桜桃。薄皮を剥くたび、錯綜する。ぷくぷく、嗅ぎつけて/これこれ、囲われていく。均等には消費されない瞳孔に、しみた熱だった残渣で編まれた読唇術は壁を破れば向こう側へ降っている、
芽が褪
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