MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
 
蟻の行列を作って 闘魚が波の機を織るような。記憶の粘膜が変容していたのだから。引き裂いて、呻く山吹をみた。引力にあるが空が怖い。行き先も、戻り先もなく、未来へ投げられた投石のよう くるくる回ってまた沈んでいく。時に声は硬化していく。脱した結果として「気配」として、花弁の裏にうずくまっていたイモムシが、わたしに似ていた。空を拒否したのではなく、選びなおしたともいう。ゆっくりと気息を用い、蠢く。境を破るのではなく、舐めるよう擦過して。
 わたしは静かに、余分を削る。
 光沢をもたぬ言葉、飾られた情緒、まぎれこんだ声??すべてをそいでいく。けずる、という行為だけが、わたしをわたしに近づける。皮膚の奥
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