MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
燃えながら、しかし濡れた布のように冷えている。
燃えているのに濡れている??そんな状態。繭は、自己による自己の軟牢。やわらかく、自傷を避けるように設計されている。だがその内部では、常に破裂の準備がされている。
濡れたまま燃えつづけるという選択。誰にも見せない変容の内火。いま、世界とわたしのあいだにある境界は、もはや線ではない。それは、呼吸と痛みのあいだに張られた、透明な皮膜。
その内側では、わたしという個が、かつての殻を焼きながら、次のかたちへと滑らかに移行する。燃焼は、浄化であると同時に傷でもある。濡れているのは、涙か、それとも残された湿った夢か。
第九膜:変容の螺旋
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