MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
者の境目も、ただ、揺れていただけ。なぞられる名も、顔も、もう忘れているのに。拙い水のあさなわが拡がる 掴めそうで、裂けていく。こころなしか干からびた地面を這いずりそれでも水脈を辿るように、胎嚢の夢が瞳を閉じた。
壊れていく最中に、かすかに癒えていく感触。矛盾のなかで、わたしはまっすぐになる。情熱と制止、苦痛と愛惜、自己とその否定??それらは拮抗しながら共存している。
たとえば、誰にも言えない愛。言葉にしてしまえば壊れると知っていながら、内側で燃えつづける。抑えたままの情熱が、ある日、ふとした瞬間に目の奥を濡らす。そこにあるのは恥ではなく、深く生きた証。
寒いそこに伝染る。火のように燃え
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