MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
 
され、苦るような粉塵が巡り歩いていた 私はひかり/それを信仰した。((語られずに残ること)


第八膜:燃えながら濡れている

 発火点が疼く。炎の羽毛だった。くちなしの花が、ずっと腐らない、布の上に 沈んでいる。問いのかたちをした遺言のように。しわがれたカーテンが滞留する時間という呼気の反復。眼差しの奥で、声にならない名前が芽吹いていた。
 この火は、声を出さずに燃えている。濡れた木のように、じりじりと沈黙のなかで発熱する。外からは静かに見えるが、わたしの中では、無数の言葉が焼けていく。
 舌の付け根から、弱っていく感覚。黒い石鹸で洗った姿だけが、泡を吐いていた。自己と他者の
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