MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
なく ただ血管に沈殿する関係。裏返っている。ひとつだけ食器が あとはある 逆さに経ったまま、シートをずらして。強く求めるは弱さのかたちを。誰も呼ばずに羽を下した祈り。捨てたのではなく黙って隠したのだった。
それは柵、と知っても。本当に隔てているのかは分からないもの。はしらのかげと、気の弱い着物は重心のずれた午後にそっと揺れ、ふっ、と裏庭をつないでいた。境界線は糸くずのように細くて見えない まばたきの裏側でだけ呼吸する存在。
大きな声でことばが逃げていく。エンジンもライトもつけず、いきれすら形を変えていた。かおがみえないほど、なんともお似合いだった。ひかり(亡者)/茫々と焼け出され
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