MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
 
界の時系列から切り離され、自分の速度で変態が進行する。そこには、壊れることでしか得られない設計図がある。すべてを知ったうえで、あえて沈黙する強さ。そして、破られることを前提とした構造体。封書の中身ばかりが佳い香り、宝石のように光ってみえる。世界はまだ遠く、触れない。だが、その破裂の瞬間を知っている。なぜなら、それを編んだのはほかならぬわたし自身なのだから。


第七膜:記憶の折り畳み

 折りたたまれた傷が湿った苔。記憶に近い 湿った視線が肋骨に沿って、透明な血管を這う静脈のように。なんの兆しもな潜く、幼いままで。かすかな影だけが灯る。光は炎のように、かつての体温をなぞっている。記憶が喉
[次のページ]
戻る   Point(3)