MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
崩れきらず、壊れきれずにしがみついた。"わがまま"に見えるもの。それらポケットには、指を組む音だけが骨の奥でうずく。
その化生は襤褸糞を立てずに沈み、ゆっくり/ていねいに/ねじった/実の皮ではなく、開かれた本の装丁。狭い、飢えではない、適応でもない,鰓。風のない処で呼吸を試みるように、願いは逆方向に折れ曲がる翼。紙片にできない身体が、座ることをやめ、そこに在った。
癒えきらぬ傷をかばいながら、それを抱きしめるようにして丸くなる。これは逃避ではない。これは準備である。手放すために編まれる仮の殻。だが、それは必要な脆さだ。
繭のなかでは、時間がちがう。外界の
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