MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
 
かい音を帯びて、そっと押しつけていた。まっしろい指がさわるたび、ぬくもりの層がおぼつかない。ひとのかたちは斑模様、水のなか
 繭とは、自己による自己のための境界である。皮膚よりも意志に近く、骨よりも柔らかく、だが確実に他者を閉ざす構造。やわらかさが強度になる、その逆説のなかで呼吸している。

 これらガラスケースに収まり 薄く永く遅くなる。小蜂が通ったあと、その上で空気がゆるんだ。展翅台のめまいと呼ぶ 軋むゆめに見たかたち、泣き笑いの間取り図の 不揃いだけが動いている。
 それは整わないことを術として選んだ「/そちらも同じですね」、声が嗄れる前に、重たさだけ増していく。また座っている 崩れ
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