MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
 
を可能にする


第六膜:繭の構築

 わたしはわたしを編みあげる。糸くずのような思考を吐き出し、古織のような記憶をまといながら、世界に対して一度だけ背を向ける。
 ほら、わたげがまたひとつ厚紙でできていて、中にボタンが三個。おそらく指紋の代用品。
 まただ!まただ!だれが手を引こうが、だれの手を引こうが、どこへ向かうかは知りやしない。背は重い、手汗を握る、暗夜だったから?だろっ と、くだを巻くもんだ。

 軽く漂っている。鈍ったひかりが、沁みをうつし取る差異に、消える順番を決めていた。口をとがらせ、ひとつぶごとに割り入れる。ことばになるまえの、てのひらのくせ
 やわらかい
[次のページ]
戻る   Point(3)