MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
 
がつよくめくれていく。

 そう信じてしまうつまらねえニンゲン、コーヒーカップにメリーゴーランド、こりゃ閉園だろうとしてのせてやる、病葉や朽葉がなすすべもなく澱みを齎す、そんな窓辺にあり、庇の奥、視界ひとつも思考一つで掌に転がす。

 皮膚の裏で起こっていることは、語れない断片をただ削り続けている、持て余すだけのいま、それだけが過去という名の幼虫を崩し、未来という名の飛翔体をまだ許さず、その中間を生きる存在。それが蛹。
 隠っている。完全変態のなかばでまだ名前を持たない時間。意味を溶かし、かたちを捨て、ただひとつの核心に凝集する。皮一枚、粘膜のさらに内側に潜ることでしかたどり着けないもの
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