MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
 
目金が上に、上に剥がれ裏返り昇る。胚に代える、奥でまだ動いている鳥の夢は、放たれるたび、決して離れず、軌道を描いて戻ってくる。接続することでしか成立しない言葉が皮膚の内側で焼けた匂いの方が先に 火を立てたような格好で、それは骨と生きてはいけない。
 真宵蛾よ。何処へ誘い赴く? 霧は深いほうが酔い。眼鏡は曇っていたほうが善い。濡れているのは世界のほうなのだ。街の人は一向に動かないが。春は募るようにできている。ただそれだけのはなし。逃げ道を作るなんて信じ込む。成り行き任せに。どーせくどくどと大げさに囁いているだけ。なんて軽口、いまや川の流れついに海のみちひき、いやいや大層な処じゃない。たしかなものを
[次のページ]
戻る   Point(3)