MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
のない胎嚢
あまだれのうちがわからよそを拝するとき。足跡を零し渇きが濯われる。
そなえた月がまたみたされた問いで芽吹く始発で。今、胸の奥で言葉より早く、
第一膜:水の記憶
なにかがじっとみずを貯めている。即ちかげも差さずくちも閉じたまま 眠らせてくれない かぁきのハンケチは ゆびのあいだから溢れ やさしく熱をもつ。おびただしいおとの拡がる 速度ないうみ。あおいガイトウを確かめるように ひまくと唱え お化けのよう いつのまにか目に入ってきたもの
たとえば、悲しみにくれる夜。こらえきれなかった涙は、かえって澱を洗い流す。その瞬間、感情の輪郭があいまいになり、「あな
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