MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
あなた」は滲んで広がっていく。叩きつけた雨粒は羽をやすめるもの露面を跳ねまわるもの、狼狽えながらでもみずたまりで踊れるのだろう
言葉よりも先に浸透する、皮膚が憶えてしまうような、深い揺れと淀みが記憶を含んでいる、傷んだうるおいに注ぐばかり。いつか、かたりかける、液体的な境界へ、すべてを抱きこみ、のみ込まれ、定まらぬ具象を、易しく手懐ける雨、雨 雨傘もささずに今更どこへ向かおうが沙漠の黒いあらし、渇いている
ぬるい光を吸いすぎたからだ、静かにこぼれてゆく。この手からわたしのかたちが崩れてしまう。わたしではない誰か、私をすり抜けて私に還ってくるまでの記録
そのすべてをたいらげるまで
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