戦後ちしき人が落っこちた穴ぐらの暗さ/室町 礼
本の知識人は、日本を取り巻く国際情勢や外
圧を考慮に入れず戦争を起こした原因を日本の政権
や日本人の体質、社会構造、日本の歴史にのみに求
めた。国際社会の渦の中にあってもまれている一国
家の内側だけみても大東亜戦争の本質や原因など
みえてくるわけがない。
平たい言葉でいえば戦後日本の知識人はだれひとり
"国際〈資本〉の自動増殖"という視点から太平洋戦
争を語ったものはいなかった。もっと平た
くいえば、戦後知識人は
「アメリカが悪い」とは言えなかったのです。
現代詩手帖8月号で「戦争」を語っていた瀬尾育生
の「戦争機械」という概念はドゥルーズ=ガタリの
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