秋はまだ訪れていない/山人
 
の大雪で、かなり遅くまで花を楽しめるかと思ったが、暑い日が続き花期もあっという間に終わった。山はしばらく端境期となり、アブ類が目立ち始め静かな時期を迎える。
 ここ数日は釣り客が入り勤務は休んだ。わずか数名の客だが、何から何まで一人で立ち振る舞うのは大変な労働だ。なにしろ作業分担ということがない。一人で掃除洗濯、調理、応対など、すべて自分でやらなければならない。わずか六品か七品の総菜をつくるのにもあたふたしてしまう。それは自分で食うのではなく、人に提供するということであり、自分の腹の隙間に食い物をぶち込むという作業ではないのだ。量的に少し少ないのではないのか?といった分量が一番良いとされる。しか
[次のページ]
戻る   Point(7)