呑気な不意打ちの午後/ホロウ・シカエルボク
 
も出来ません、でも、これは間違いなく不調のサインです、大腸癌の時には血便が出る、というのと同じような」物騒な例えだ、と俺は言いながら腹をさすって見せた、女は微笑を浮かべた「もう大丈夫そうですね」そしてきちんと立ち上がって服の裾を直した、「どうしても気が進まないならしかたありませんが、一度そこにある住所に来てください、助けることが出来るかもしれません」多分行くと思う、と俺は答えた、でも、ひとつだけ気になることがあった、「こういう医者ってさ、鎮静剤みたいなものを使うだろ、ああいうの飲むと心が死ぬって言うじゃないか、それが気になる」御尤もです、と、女はまた微笑んだ、さっきより砕けた感じのする笑い方だった
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