呑気な不意打ちの午後/ホロウ・シカエルボク
ない、という感じの身体つきだった、俺の呼吸が落ち着き始めたのを見て女は静かに、地球の危機について語るみたいに真剣な調子で語り始めた、「これまでにこういった状態になったことはありますか」いや、と俺は短く答えた、「一人暮らしですか?」うん、とこれも簡潔に―女はそれでだいたい把握したらしかった、ハンドバッグから名刺を一枚取り出してこちらに差し出した、俺はそれを受け取れるくらいには回復していた、「心療内科医」と俺は思わず口に出した、「この状態は精神的な異常なのか?」たぶん、と女は―俺は名刺を見返した、芙石まりあ、とそこには書いてあった―まりあは簡潔に答えた、「無理にとは言いません、良くなる、という約束も出
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