呑気な不意打ちの午後/ホロウ・シカエルボク
いくらいの話なのだ、自分の記憶がどこまで信用出来るのか、信用に値するものなのか、それはイエスと断言することは出来なかった、フルートの音は聞こえなくなっていた、馬鹿な、ついさっき耳に飛び込んできたばかりじゃないか?いや、もしかしたら、それがフルートではなく、なにかしらの異変の予兆だったのかもしれない、思考のテーブルに並べられるのは妄想ばかりだった、すべてが当たっているような気もしたし、何もかも間違っているような気もした、どちらにせよそれを証明出来るものはなにもないのだ、それはただ、遠い過去の記憶のように不意に脳裏を過っただけのビジョンに過ぎない、なにを証明するにしても、このまま動けなくなっている以上
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