リアリズムについて/守山ダダマ
ど無意味なもの、そういった奇妙な世界、不可思議な世界を文章の中に出現させることも、私たちの心にとっては大事なことだと私は思う。
例えば内田百?の小説を読んでいると、いや、読み始めた途端にいきなりわけのわからぬ別世界に引き込まれて、読み終えるとまた急に現実に引き戻されて、と言っても現実はたとえ居間の中であってもまるで荒野のようで、そこで一人ぽつんと立たされて呆然としている、そんな気分を味わう。私はこれを、“現実”の落とし穴のように感じるのである。だが、このようなスリルを、実は私たちは知らず知らずのうちに期待しているのである。そう、「実は」という現実。私は百?の文章を読むことで日常を一度遮断され、
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