リアリズムについて/守山ダダマ
 
れ、新たな現実を見ることができたのである。自分の勝手な思い込みではあるが、彼が“現実”に仕掛けた陥穽によって、驚きと恐怖を感じながらも、日常的な抑圧から解放されたのである。今になって思えば、これはもうジェットコースターが急降下するときのような快楽ではないか! やったー!!
 そう、文章とは解放なのだ。そうあるべきだ。純愛を描いた小説が、解放になるとは思えない。現実というもの、言葉というもの、そして解放ということ・・・これらについて、私たちはステレオタイプな意味に惑わされずに、よくよく思考を重ねなければならない。考えていけば、新たな世界が見えてくる。
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