リアリズムについて/守山ダダマ
も描かなければ、せっかくの文章にも価値が生まれないのではないか?と私は極端にも思ってしまう。
“現実”をそのまま映しただけの文章の、どこが面白いのか? 文章の本当の価値は、“現実”では見えないものを見せてくれるところにあるのだ。言葉は“現実”よりも奥が深い。人間社会の現実は言葉が司っているのだ。その言葉が持つ力を最大限に引き出し、“現実”の社会に対して問うのが作家の重要な仕事であろう。
作家が言葉によって明かすべきものは、私たちが積極的に求めているものだけではない。私たちがアッと驚くもの、「何じゃこりゃ?」と思うもの、いや「何じゃこりゃ?」と言うこともできず口をぽかーんと開けてしまうほど無
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