憂愁の中で私は/積 緋露雪00
が、
憂愁の中に落ち込んでしまった私にはその腐臭は
もはや堪へ得ぬ悪臭に変貌したのだ。
この憂愁の中にある私が正常なのかもしれず、
腐臭を腐臭として感じられる感性こそに私は私の根拠を求めたのであるが、
如何ともこの悪臭には悩まされる以外になかったのである。
私は私からの脱出を何度も試みたのであるが、
それはことごとく失敗に終はり、
さうして私は憂愁の中に投げ出されたのだ。
私からの脱出に倦み疲れた私は
この腐臭に我慢する外なく、
腐臭を腐臭と感じられる私こそが正常な私であった筈なのであるが、
そんな私はどうしても居心地が悪く
私が私である事が不快でならないのだ
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