メモ(ノートに書いた詩)/由比良 倖
 
りを肌で舐めて、
過去の中を滑り落ちていく人たち。



冷たいものは血。
21世紀の赤さの中を、
換気扇のファンの下で生きている。
愛する人は花のように、
左手でお皿を洗っている。



ただ僕を見て、見てほしい。
愛してほしい。苦しみがほしい。
君の声が欲しい。心がほしい。
心の苦しみが欲しい。
僕を見て、僕を撫でて。
僕を捨てないで。
ひとりにならないで、ひとりにしないで。



英語が僕を助けてくれる。
外国語が僕を救ってくれる。



(外で煙草を吸う。気持ちいい。)

風が僕の血を撫でていく。
雲を出さない飛行機で空
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