服を脱げば皆同じ/室町 礼
 
と複雑な問題の世界に入ってきたので自
分でも突然膨大な観念が押し寄せてきて、内心、ああ、
面倒になったなと思い始めています。
わたしたちが往来で性器をなぜ隠すのか、恋人の前では
互いになんでもないものが、共同の空間のなかではどう
して羞恥(=タブー)になるのか。
これは文学のことばにも関係しているし、倫理とも関係
しています。結論からいえば文学のことばというものは
極私的なことばであって共同の空間に共有されるもので
あってはならないのです。もしそんなことがあればわた
したちは人間じゃなくなってしまいます。それはもはや
ロボットです。
そんなことをいえば、やっぱり吉本や高橋の
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