放浪の篭球 〜踊ろうマチルダの歌で天国を通過する〜/菊西 夕座
どこにもないさ
踊ろうマチルダ口ずさみながら 未知にはぐれてしまわないように」
星降る億千の光は ドリブルしている天使のボール
人の最期だけが上手に跳ねて 浮世ばなれのロングショット!
理不尽な雨もいつかやみ 空へと帰るリバウンド
やがて地球が回転すれば 太陽光線の反射ショット!
不毛な岩や鉄屑や 月の光がさしこむ窓の亀裂
視線をぬってよく見れば 岩にも岩の顔があり
鉄屑からは赤さびが歌い 窓の亀裂も涙を流す
踊ろうマチルダ口ずさみながら 死んではいない影たちと
ドぅム、ドぅム、ドぅム、ドぅム、星降る夜に
温泉がわくような地割れ声で マチルダが愛を歌う
頭の中を
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