夜明け前の雨/山人
 
ップの褐色の液体、料理で使う料理酒のツーンとした清酒のにおい。これを煽ったらどんな極楽が現れるのだろうか?そんなことを考えてしまう。なにしろ以前は勤務前に朝酒を飲み干し、勤務仕事に就いたことは数えきれないほどあった。家業でも、朝食準備前に整えるためにまずビールの大瓶一本を空け、さらに日本酒を煽った。これで体は軟体動物のようになり、腑に落ち整うのである。
 かつての私はヘビースモーカーであり、隠れ依存症だった。その世界に戻れるものなら戻ってみたいという欲求が酷い昨今だ。
 しかし、私はおそらくその世界には戻らないだろう。戻ったら最後、多分現実世界には戻ってこれないかもしれないと思う。ただ心が病み
[次のページ]
戻る   Point(4)