ちいかわ/無名猫
 
たいなポエムを堂々とつぶやいてて、思わず冷や汗が出た。共感性羞恥って、このことか。

だってさ、すごい無口だったのに。

別れ話のとき、ただ一言、ぼそりと
「ごめん」としか言わなかったのに。

そういえば、別れたあとに友達から聞いて、驚いた。
「あいつ、実はめっちゃ、ちいかわ好きだったらしいよ」

ちいかわ?

最初、何かの冗談かと思った。

だってスマホは無地だし、部屋はミニマリズム。
声も低め。というか、付き合ったのに、実はあまり声を聞いたことがない。

ちいかわの「ち」の字も出なかった人。

でも言われてみれば、コンビニでちいかわのグミをよく買ってたのを
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