STRAWBERRY HANDKERCHIEFS FOREVER。/田中宏輔
企む、といった意味である。ハンカチが(1)悲しみの象徴として用いられている例に、芥川龍之介の「手巾」がある。ある婦人が、自分の息子が死んだことを告げに、主人公宅を訪れたときのことだ。件の話に触れる婦人の様子に悲しげなところが少しもないことを不審に思っていた主人公が、偶々、婦人が膝の上で手巾を両手で裂かんばかりにして握っているのを目にして、その婦人が実は全身で泣いていたということに気づくという話である。
忘れていたことを想い出そうとして、
(シェイクスピア『マクベス』第一幕・第三場、福田恆存訳)
ほどけかかった
(トーマス・マン『ヴェニ
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