LAUGHING CHICKENS IN THE TAXI CAB。/田中宏輔
 
が、ふたたび書いて見せると、書道の本を手渡された。見ると、ぼくの書き順が間違っていたことがわかった。正しい書き順で書くと、見違えるほどに、きれいに書けた。


織り
(スティーヴンソン『ジーキル博士とハイド氏』手紙の出来事、田中西二郎訳)
込んで
              (モーパッサン『女の一生』十三、宮原 信訳)
おいたのだ。
             (ポオ『盗まれた手紙』富士川義之訳、句点加筆)

夜中の一時過ぎに電話が鳴った。ノブユキからだった。一週間ほど前に帰国したという。親知らずを抜くのに、アメリカでは千ドルかかると言われ、八百ドルで日本に帰れるのにバカらしいや
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