詩をめぐる診断/菊西 夕座
にベランダの鉄柵にも緑の蔦を這いめぐらせて、にぎやかな客船をきどっていたことだろう
ペントハウスの会議室からは東西南北、どちらへ出向いても緑の回廊で結ばれていたし
水をまきながら会議室のまわりを一周し、そこからテラスのほうへ植物園も築くことができた
伸び放題の豆の木がテンガロンハットのつばに鳥たちを集め、1階の職場にもさえずりが響き
非常用に貫かれた螺旋状の階段を薔薇でおおいつくし、優雅にくだる夕暮れも贅沢だった
2mを超える観賞用の植物が搬入されてきても、1階のガラス扉はそれを受け入れる余裕があった
いまはもう白いモルタル壁にくたびれた色がみられ、人気のない回
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