雨の日/由比良 倖
少年は透子の同意に勢いづいたのか、立ち上がって僕たちのもとへ早足で歩いてきたので、僕たちは三人で三角形に立って話すことになった。と言っても話しているのは、殆ど少年ひとりで、彼は僕や透子や、まるでそこににいない誰かに身を乗り出したりさえして、多分に妄想的な終末論を熱っぽく語り、僕たちはただ話の途切れ間に、相づちを打つだけだった。少年の話しぶりは、彼の孤独な頭でごちゃまぜになっていることが、論理と妄想と思い込みの区別なく、多感な頭からそのまま飛び出して来るみたいだった。
「もう、すぐですよ。基準なんて決めるから、基準が絶対になるんです。人間が自然界に対して行ってきたことは、何もかも(いや、「殆どは」
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