あれから/山人
 
の煙はその次の年のこと、三度目、四度目、久しく吸っていなかった薬物が体内に注入され、顔面が蒼白になるとともに、あらゆる内臓がすべて呼気とともに外に押し出され、ただの薄い皮と空間だけの体になってしまったようだ。
 オニヤンマはしきりに周りをホバリングし、ジジジジッと顔の前で一旦静止し、顔色をうかがうと、すぐさまびゅるりと向きを変え、茜の向こうへと立ち上がっていった。
 夕刻に散歩に出たのだが、日が翳り、闇が訪れるのはすごく早くなった。
フィルター近くまでタバコを吸うと、アスファルトの白線の外側に捨て、サンダルで擦りつけながら踏み潰した。昔は普通にタバコを捨てて踏み潰していた。今はゴミ一つ捨てた
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