MELBA TOAST & TURTLE SOUP。 カリカリ・トーストと海亀のスープの物語。/田中宏輔
 
ないか、と思われてきた。そこで、歳時記にあたって調べることにした。角川の図説・俳句大歳時記・春の巻を見ると、「亀鳴く」が季語として掲げられていた。そこには、亀が鳴くものとして詠まれた句が、十あまりも載っていたが、前掲の木歩のものとともに、亀が鳴かないものとして詠まれた、「亀鳴くと華人信じてうたがはず」という、青木麦斗の句もあった。


またかい。
                    (堀 辰雄『ルウベンスの偽画』)
同じ文句の繰り返しだ。
                (セリーヌ『なしくずしの死』滝田文彦訳)
そこにはオウムがいるのかしら。
      (ヘッセ『クリングゾル
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