聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
もいいや、何かね、本屋に行って、ぱらぱらと見て、これは難しそうだな、と思ったら、わくわくするのね。それで、適当な本を一冊買ったりする。それで、二ページとか三ページ進めたとき、『あ、面白いかも』と思ってしまうわけ。そう思ったらもう駄目。飛躍してる、って思うかも知れないけれど、『私はゲーム感覚で資格を取って、ゲーム感覚でお金を稼いで、ゲーム感覚で生きていくんだ』何か忘れてる、勉強してて楽しいとき、決定的に、私は何かを忘れている、と感じるわけ。感じるのよ、心が。でも、忘れたものについて、思い起こすことは出来ないから、本を投げ出しても、ただもやもやだけが長いこと残るの。
うーん、吟味した本以外はみんな
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