聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
 
ったような顔をしていた。僕が、
「真水にはあっという間に雑菌が繁殖するって言うし、これ、開けたの昨日だよ? 僕は別にお腹壊しても構わないけれど」
と言うと、
「そうねえ。姉弟だから大丈夫よ。……敢えて付け加えると、『大丈夫』って言うのは、あなたとの間接キスで身体を壊した方がいいってこと。健康なんかよりずっといい。そう言う意味で、『大丈夫』なの。となると『姉弟だから』と言うのは、意味を為さないわね。別に姉弟じゃなくても、私はあなたが好きなのだから」
 紗々が僕の口にポテトチップスを一片入れようとしたので、僕はそれを避ける形で、身体をまっすぐに伸ばして、右手を頭の下に敷いた体制を取った。そのま
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