聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
 
ときにはね、うん、そうだといいな。
生きていて、私たちのどれくらいが、本当のことを知ることが出来るだろう? 私が時計を着けないことは知ってるわよね? 外に出るのが嫌なのも、何処に行っても時計があるから、というのも理由のひとつなの。時計はチクタクチクタク動き続けるわ。でも、あれは私達が安心して心を委ねられる、心の外部にある世界の指標ではないの。時計の秒針は、私達が自分で動かしているものなのよ。……結局みんな悲しいのよ、悲しいことに悲しいし、悲しくないことに悲しい。だから今日も時計は動く。だから私は悲しい。暁世は何が悲しい?
私は混乱しています。じゃあね。』



 僕が学校から帰ってく
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