聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
分が泳いでいることを知らない魚であるかのように、満足して生きていたいのです。そのとき海は魚を知らず、宇宙は海を知らないのですけれど、それにも関わらず魚は満足して泳ぎ続けるでしょう。目を瞑るとき……その魚には瞼があります……、彼または彼女は全き賢者なのです、その魚こそ全てを知る者、私の理想なのです……。
私は窮屈です、本当に今は、生きた動物や植物を調理した何か、なんて想像もしたくなくて、私は光合成するか、プランクトンを食べて、薬を工場生産された炭酸水で飲んで、眠って、時間の無い世界で、いろいろな色の光の発現する世界で、最初の一文字から自力で順番に見付けて暮らしたい。
私はまだ、何も見付からな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)