聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
 
とが出来る。ただし、その恐怖を受け入れたときに限って。孤独とは、それはね、言ってみれば、この世界の全てと別れることなのだから、普通の人には耐えられない。でも世界とお別れすることで、世界と出会えるの。それは、いつもの世界で、いつもの誰かと出会うこととは、まるで違う体験で、例えるなら、宇宙の外で奇跡的に人間と出会うような感覚、……あくまで例えだけどね。
 ひとは、孤独を避けるためなら、どんなことでもする。感傷的な意味の孤独でも、絶対的な孤独においても。でも、私が、今特に考えているのは、後者よ。いい? 絶対に分からないこと。それは、あなたが孤独であるということなの。寂しさなら知っている、ひとりきりのと
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