聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
 
もりはないんだけど)例えば、『寂寥感』なんて呼ばれるような孤独ではなくて、本当に本当に、自分ひとり以外、何も、誰も、何もかもよすががなくて、たったひとりで世界と、……何というか対峙する……? うーん、ちょっと大袈裟だ。えーと、世界の中で生きることの、そして自分が自分以外であり得ないことの、世界が世界でしかあり得ないことの、謂わば戦慄なのよ。(これも大袈裟すぎる言葉遣いかな?)それは一番怖いことなんだ。
 ……けれど、その恐怖こそ、人と人とが完璧に完全に繋がるための、たったひとつの意識のあり方なの。逆説的なんだけど、本当にひとりのときだけ、人は本当にふたりになれるし、何かと、何もかもと出会うことが
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