聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
 
になるの。そして、ひとりのひとは、自分の孤独を分かち合っていると信じること、それなしには、生きていけない。
 例えば私は、私以外の誰もかもが四六時中楽しげに笑っている世界の中では、生きていけない。私だけが笑えない世界で、私は自殺するしかないの。共感していられると、誰かと孤独を分かち合えていると信じられること、それなしでは人間は、多分生きていけない。よほど強い人間でないと。そして、もっと正しく言うなら、勇気のある人間じゃないと。
 そして、私が言いたいこと、そして考えていることの多くは、その、勇気のある、そして孤独な人間の存在についてのこと。勇気があること、そして本当に孤独であること、それは同じ
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