聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
 
ななくてはならないの。でもそれじゃ話にならない。いい? 私が言いたい、『誰にも分からないもの』とは、誰とも分かち合うことの出来ない、産まれてきたことの孤独なの。
 くだらないことだと思わないでね。まず、言っておかなくてはならないことは、『分かち合うことの出来る孤独』なんてものは感傷的で表面的で、そして社会的なものなのよ。そして、それは……、否定的に言ったけれど、でも、ひとは誰かと共にいなければ生きていけない。ひとと共に感情や憶測や、そして優しさや楽しさを織り合って、そして始めて、人間は白紙ではなく意味のある存在になる。(曖昧な言い方を許してね)ぼんやりとではなく、はっきりとした光に満ちた存在にな
[次のページ]
戻る   Point(2)