聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
 
細なことであっても。一回目と二回目とでは、意味合いが全然違うの。二回あることは三回あるわ。でも一回目に起こったことは一回きりかもしれない。二回目はもう、ないかもしれない。いいえ、それも違うわ。ねえ、全ての物事はすべからく一回きりなの。本当は全てが全ての始まりなの。
 付け加えて言えば、過去が現在の理由であり、現在が未来のスタート地点だなんて、字義通りには私は信じないけれどね。でも、今は少しばかり生活的な、つまり生活の時間の中で私の取るべき態度について話しているわけだから。……言葉は全て便宜的なものよ。それでも言葉ほど私たちにとって光に近いものはない。思い出すのよ、私たちがそれを目撃するならね、言
[次のページ]
戻る   Point(2)