聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
が、ある珍しく晴れた朝、ふと彼女の存在を頬に感じて、たった半日で描き上げた彼の豊潤の第二期最初の絵、……が架かっているのを右手に見ながら、直進し(交通状況に気をつけながら)、三番目の角を右に曲がると駅が見えます、先ほどの絵は、キュビズムの影響がやや見られますが、もうポストモダニズムの萌芽が現れていますよね、電車に乗ったら八つ目の駅で降りましょう、みんな死んだような目で生きてる、目立つ動きは控えましょう、ひったくりには注意しましょう、旅は悲しい、死にゆくみたいに、今日という日はあなたにとって、最期の日かも知れません、毎日三食食べましょう、夜は少々少なめに、詩人はお金になりません、彼は三十歳で死んだ、
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