聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
 
たち人間は、全て私たち人間なりに、何もかもを解剖するし、何でもかんでも解剖できると信じてる。そして全てを証明できると、或いは証明できないことを証明できると、信じてる。暁世くん、私たちが『分かる』というとき、それには二種類あるのよ。ひとつは、心がそうとしか思えないこと。これは、間違っている可能性も高い。
 もう一つは、ある物事を、大多数の他人が『正しい』としていることと整合性を持って……つまり、矛盾なく思い描けること。このとき大事なのは、思い描くことは全て視覚的じゃなければならない、ということ。何故なら、文字や図で描けないことは、分かったことにならないからね。……それは、一種の規格化なのよ。
 
[次のページ]
戻る   Point(2)