聞こえない風の音が、永遠に鳴り続けてて/由比良 倖
上のライターを取って火を着けた。僕には勧めなかった。
「紗々、ヘビースモーカーになったの?」
「あれね。喉と鼻の健康の為ね。私は煙草の他には睡眠薬しか飲まない。それと、風邪薬を飲んだりするくらい。だから駄目になっていくの。私には、私の話で、あなたが抱くであろう違和感が大抵は分かるし、こんな戯れ言みたいなこと、暁世くらいしか聞いてくれないけれど……あなたには感謝してる。姉として、一番の隣人として……、誰だってこう言うに違いないの。『優しさって何だ? 正しさって何だ? 人生をゲームだと思うことが何故いけないって言うんだ? 善意がどうとか言うのなら、働いて親孝行して、社会に貢献することこそが、君の『
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)