白いうんち/足立らどみ
 
中で「紙に印刷された詩集」は著者の証明であり、読者には所有欲や安心感を与えてきた(紙の本は「目に見え続ける実体があるので再読を促す」 )。また佐藤氏は、紙詩誌が詩人コミュニティを形成し、同人誌間で感想を交換し批評を醸成する土台である点を評価している 。他方で、紙媒体に「何か大切なものが失われる」と感じる詩人も少なくない。ある作家は、ウェブ掲載の作品を見て「タダで見られて嬉しいが、ウェブ公開で何か重要なものが失われるようでもったいない」と複雑な感慨を述べている 。

しかし紙への執着は、創造の可能性を狭めることもある。たとえば紙に縛られない想像力として、デジタルならではの表現が挙げられる。映像や
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