白いうんち/足立らどみ
 
体的制約をデジタルが補う例もある。佐藤氏は持病で長時間PCに向かえないが、スマホで詩を作りメール送信→清書する過程で「詩を書いていける」喜びを得ている 。このように、紙の詩が「身体的・五感的経験を介した表現」であるのに対し、デジタル詩では「操作や技術を通じて拡張された身体」が介在するとも言える。いずれにせよ、紙に限定されない詩は詩性を失わず、逆に新たな身体性や没入感を獲得しうるのである 。

紙媒体への固執心理と詩的想像力の解放

紙の詩集へのこだわりには、伝統的な美意識やノスタルジー、作家や読者の心理が関わる。物理的な本は、長い歴史の中で詩の権威や価値の象徴となってきた。出版文化の中で
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