子供のころ、近所には……/大町綾音
れらは全てレトリックなのであって、わたしは本来そういうタイプではない──腐女子では、ある)
さて、「子供のころ〜牧場があった」などという文章を書こうと思ったのは、今夜──ではなくて今朝、のわたしがけっこうナイーブな気分であるからなんだろうと思う。
本当は、桜の木の思い出を交えて、母の死について話そうと思っていた。でも、どうしてもそんな気もちになれない。死の間際、死んでから、の母の面影が脳裏に浮かんで消えなくなってしまう。……正に、「桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!」である。
さて、近所の牧場のことなのだが、実際は羊を見に行くようなことはほとんどなくて、わたしは一
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